成年後見制度
「成年後見制度」とは、認知症の方や知的障害、精神障害の方のサポートをする民法上の制度で、主にそういった方々の財産保護を図ることを目的としています。
成年後見制度は、「法定後見」と「任意後見契約」の2つに分かれています。
<法定後見>
ある人が物事を判断する能力が低下した場合において、その人に代わって契約をしたり、本人のした契約を取り消したりする「成年後見人」という代理人を選任します。家庭裁判所に申立てをする必要がある手続です。申立書の作成は弁護士または司法書士の業務で、行政書士は業としての作成はできませんが、家庭裁判所の後見開始の審判の後に、財産管理を実際にする「成年後見人」の業務は、行政書士の業務といえます。
<任意後見契約書>
権利関係の書類なので、書類の作成は、行政書士の業務です。最近では、弁護士や司法書士と協力して行政書士のできる範囲内で積極的に成年後見に協力しています。神奈川や東京都等には、行政書士が中心となって活動している成年後見センターがあります。
著作権業務
著作権という権利は、小説や音楽などの「著作物」が創られた時点で与えられる権利です。著作権が認識され、出版、放送、通信などの業界においては、これまで以上に著作権への対応が迫られています。著作権登録手続を業務として行う場合、書面の作成は、いまのところ行政書士の独占業務とされています。また、著作物についての使用許諾契約書や出版契約書等の契約書作成も行政書士の業務です。
ゲームソフトやデータベース、CDやハードディスク、放送やインターネットなどの普及により、著作権に関わる法律の作成や違反したときの罰則の強化、保護するためのシステムの技術力や問題が起きたときの救済方法(裁判や謝罪方法など)を充実させてゆくことが必要となってきています。
著作権の世界の拡大にともなって、行政書士業務も広がっていく方向にあります。
<著作権相談員>
希望する行政書士を対象に、日本行政書士会連合会研修センター主催で著作権登録業務等についての特別研修が行われています。各県の行政書士会ごとに実施されており、これを受講し、効果測定という試験で一定以上の成績を修めた行政書士は、著作権相談員名簿に名前を記載できるという仕組みになっています。
この名簿は、各県の行政書士会から日本行政書士会連合会に提出されるほか、いずれは文化庁等にも報告される予定であり、一部はインターネット上ですでに公開されています。
<特許等との違い>
特許権・実用新案権・意匠権・商標権などは、産業財産権という枠組みの中に分類されます。著作権は、産業財産権などと共に、知的財産権と呼ばれています。著作権は、創られたときに自動的に発生しますが、産業財産権には、権利を取得するためには登録手続が必要であるという違いがあります。産業財産権の登録手続は、弁理士などが行います。
ITと行政書士
行政手続に関する情報はインターネットを通じて取得でき、一部の申請書類についても、関係省庁や地方公共団体に用紙をもらいに行くことなく、直接ホームページから用紙をダウンロードできるので、そのままパソコンのワープロソフトで書類を作成している行政書士も多数います。また、多くの行政書士がホームページやブログを利用して情報を発信していますし、Eメールを通じての顧客とのやり取りが当たり前のようになってきています。
<電子申請>
許認可申請の手続の前にまず行政機関に申請書などの用紙をもらいに行き、提出のために再び行政機関に出向くことは、申請者にとって大きな負担になっていました。それらの手続について、インターネット上にある電子申請・届出の受付サービスを利用することにより、従来の窓口申請に代えて、パソコンにより作成した申請書を電子データのままでそのまま自宅や職場からいつでも申請することが可能となります。本人や代理人行政書士になりすまして申請されることのないように、電子認証などセキュリティーにも十分配慮することが必要です。
<電子定款>
会社設立の際に作成する定款については、公証人の認証が必要となり、これまでは紙ベースでの定款作成が原則でした。電子文書として作成できるとする法改正がなされたため、現在は、PDFというファイル形式で定款を作成し、その定款に、作成した行政書士の電子署名をすることにより、公証人役場へフロッピーディスクで会社定款を提出できます。
電子定款のメリットの1つとしては、印紙税の節約があげられます。認証手数料は紙ベースの定款認証と同額(50,000円)ですが、紙ベースの定款認証と異なり、印紙税の納付(紙ベースの場合は40,000円)が不要であるため、最近、利用者が増えています。
定款の認定手続については、電子申請ではなく、発起人(もしくは代理人)が直接交渉人役場に行くことになっているので、注意が必要です。
<電子内容証明郵便>
これまでの内容証明郵便においては、1枚あたり20字×26行と文字数が限られていること、受付をする郵便局が比較的大きな郵便局に限られていることなど、不便なところもありました。これに対して、電子内容証明郵便は、一定の余白と文字の大きさが維持されていれば、1枚あたりの文字数に制限がなく、従来の内容証明郵便の2〜3枚分の内容を1枚で書くことができます。インターネットでの申請なので、24時間いつでも内容証明郵便を送ることが可能です。
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